2024-25シーズンのレアル・マドリード徹底分析

エンバペが加入したのにどうしてレアルマドリードは無冠に終わっちゃったの?



それにはいくつかの理由があるよ!
はじめに – 期待と現実の大きなギャップ
2024年夏、サッカー界最大のビッグディールが成立した。キリアン・エンバペがパリ・サンジェルマンからレアル・マドリードへフリー移籍。ヴィニシウス、ロドリゴと組む「VMR」トリオの誕生で、新たな銀河系軍団が完成すると世界中が期待した。
しかし、現実は残酷だった。
エンバペ個人は公式戦43得点という驚異的な数字を残したものの、チームとしては無冠のシーズンで終了。ラ・リーガではバルセロナに敗れ、チャンピオンズリーグでは準々決勝でアーセナルに1-5という屈辱的な敗退を喫した。そして最終的にはカルロ・アンチェロッティ監督の退任という形で幕を閉じることとなった。
一体何が起こったのか?なぜ史上最高レベルの攻撃陣を揃えながら、レアル・マドリードは期待を大きく下回る結果に終わったのか?



銀河系軍団って何?宇宙のチームなの?



これはレアル・マドリードの愛称なんだ。昔、ジダンやベッカム、ロナウドみたいな世界的なスター選手をたくさん集めた時に、『まるで宇宙から最高の選手を集めたみたい』って言われたことから始まったんだよ
1. トニ・クロース引退が生んだ計り知れない損失
プレーメーカー不在の深刻な影響
24-25シーズン開幕前、レアル・マドリードは重要な選手を失った。トニ・クロースの引退である。
クロースがもたらしていた価値は、単なる「良い選手が一人いなくなった」というレベルではない。彼の引退は、チームの戦術的基盤そのものを揺るがす出来事だった。
クロースが担っていた3つの重要な役割:
- 低い位置からのビルドアップの起点
- 最終ラインから中盤への安全なボール運び
- プレッシャー下でも正確なパス供給
- ゲームテンポのコントロール
- 戦術の幅を広げるサイドチェンジ
- 左右の展開で相手守備陣を動かす
- 50m級の精密なロングパス
- 攻撃の起点となるスイッチングプレー
代役不在の深刻な現実
クロースの後継者として期待されたのは、ベリンガムやカマビンガ、モドリッチだった。しかし:
- ベリンガム:より攻撃的なポジションでの起用が増加
- カマビンガ:クロースほどの視野とパス精度は持たない
- ギュレル:アンチェロッティからの信頼が低い
結果として、低い位置でゲームを組み立てられる真のプレーメーカーが不在となってしまった。



なんでクロースがいないとそんなに困るの?他にもうまい選手いっぱいいるでしょ?



サッカーには、チーム全体をコントロールする選手が必要なんだ。クロースはその役割をしていたから、代わりがなかなかいないんだよ
2. VMR問題 – 左サイド偏重という戦術的欠陥
4人全員が左サイドに流れる異常事態
エンバペ加入により、前線は「VMR」(ヴィニシウス、エンバペ、ロドリゴ)という豪華なトリオを中心とした攻撃陣となった。しかし、この選手たちが引き起こした問題は深刻だった。
最大の問題:前線の選手たちが左サイドに流れてしまう現象
これは24-25シーズン前半戦で頻繁に見られた光景で、SNSでも大きな話題となった。なぜこのような事態が起きたのか?
原因分析:
- ヴィニシウスの左サイド偏重
- 本来のポジションが左ウイング
- 右足メインのため、左サイドでのカットインを好む
- エンバペの左サイドへの流れ
- PSG時代から左サイドでのプレーに慣れ親しんでいる
- センターフォワードでありながら、しばしば左に流れる
- ベリンガムやロドリゴの連動
- ボールホルダーをサポートするため、自然と左サイドに集結
- 結果として右サイドが完全に空いてしまう



世界最高の選手を集めても、チームワークがないと勝てないんだ。
フォーメーション変更の弊害
昨シーズンは4-4-2ダイヤモンド型が基本フォーメーションだったが、エンバペ加入により4-3-3へ変更。この変更が予想以上の副作用をもたらした。
4-4-2から4-3-3への変更による影響:
- 中盤のバランスが崩れる
- サイドバックへの負担増加
- 守備時の中央の人数不足
3. 守備参加不足 – スタープレイヤーたちの重大な欠陥
エンバペとヴィニシウスの守備意識
レアル・マドリードの24-25シーズンを語る上で避けて通れないのが、前線のスター選手たちの守備参加不足である。
エンバペの守備面での課題:
- PSG時代から守備負荷の軽い環境でプレー
- プレッシングの開始タイミングが遅い
- 相手サイドバックへのプレッシャーが不十分
ヴィニシウスの守備面での課題:
- 攻撃に比べて守備への集中力が低下
- 自陣への戻りが遅く、しばしば数的不利を作る
守備バランスの崩壊
両ウイングの守備参加不足は、チーム全体の守備バランスを崩壊させた:
- サイドバックの孤立
- カルバハル(怪我前)やメンディが2対1の状況に陥る
- オーバーラップのタイミングが制限される
- 中盤への負荷集中
- カマビンガやバルベルデが広範囲をカバーする必要
- 結果として中盤が間延びし、守備の穴が生じる
- 最終ラインへの直接的脅威
- 中盤を飛び越される攻撃パターンが増加
- センターバックが頻繁に1対1の状況に



エンバペとヴィニシウスって攻撃がすごいんでしょ?守備しなくてもいいんじゃない?



確かに攻撃は世界一レベルだけど、現代サッカーでは11人全員で守備することが当たり前なんだ。攻撃の選手が守備をサボると、味方が数的不利になって簡単に点を取られちゃうからね
4. 怪我による戦力ダウンが追い打ち
守備陣の相次ぐ離脱
24-25シーズンのレアル・マドリードを苦しめたのは戦術的問題だけではない。主力選手の相次ぐ怪我が状況をさらに悪化させた。
主要な離脱選手:
- ダニ・カルバハル:右サイドバックの絶対的存在が長期離脱
- エデル・ミリタオ:センターバックの主力が負傷
- ダビド・アラバ:DFリーダーの復帰が大幅に遅れる



カルバハルとかアラバがケガしちゃったのも大変だったんだ。やっぱり主力選手がいないとチームは弱くなっちゃうんだね
5. ベテランリーダー不在の深刻な影響
クロースが担っていたリーダーシップ
クロースの引退は、プレー面だけでなくチームの精神的支柱の喪失でもあった。
クロースのリーダーシップの特徴:
- 冷静沈着な判断力で若手を指導
- 試合中の的確な指示出し
- プレッシャーのかかる場面での安定感
- 戦術理解度の高さを活かしたコーチング
クロース不在によるチーム統率力の大幅な低下
39歳のモドリッチは依然として高いパフォーマンスを見せているが、クロース不在の影響があまりにも大きく、一人でその穴を埋めることは不可能な状況となっている:
- クロースが担っていた戦術的指導力の代替不可能性
- ゲーム全体を俯瞰する能力を持つ選手の絶対的不足
- チーム全体の戦術理解度低下による連携ミスの頻発
5. 戦術の幅の狭さ – アンチェロッティの苦悩
最適解を見つけられないシーズン
アンチェロッティは24-25シーズン中、何度も戦術変更を試みた。しかし、最適解を見つけられないままシーズンを終えることになった。
試行錯誤した戦術変更:
- 4-3-3から4-4-2への回帰試行
- エンバペのポジション変更(CF↔LW)
- ベリンガムの起用位置調整(CAM↔CM)
- 守備時のシステム変更
選択肢の限界
戦術の幅が狭まった主な要因:
人材面の制約:
- クロース級のプレーメーカー不在
- 怪我による選択肢の減少
- 若手の経験不足
戦術面の制約:
- スター選手たちの特徴を活かす必要性
- 守備参加を強要することの難しさ
- バランス調整の複雑さ
6. 分析結果 – なぜ銀河系軍団は機能しなかったのか
根本的な問題の整理
24-25シーズンのレアル・マドリードが抱えた問題を整理すると:
1. 戦術的基盤の喪失
- クロース引退によるビルドアップ能力の低下
- プレーメーカー不在による攻撃パターンの単調化
- サイドチェンジ能力の著しい低下
2. チームバランスの崩壊
- VMR の左サイド偏重問題
- 守備参加不足による数的不利の頻発
- フォーメーション変更への適応失敗
3. 人的リソースの問題
- 主力選手の相次ぐ怪我
- ベテランリーダーの不在
- 若手選手の急激な負担増加
4. 戦術的柔軟性の欠如
- 限られた戦術オプション
- 相手チームへの対応力不足
- システム変更時の連携不足
個人の能力 ≠ チームの強さ
今回のケースが示している最も重要な教訓は、**「個人の能力が高いだけではチームは機能しない」**ということである。
エンバペ(43得点)、ヴィニシウス、ベリンガムという世界最高レベルの選手を揃えながら無冠に終わったのは、以下の要因による:
- 役割分担の不明確さ
- 戦術的統合性の欠如
- 守備面でのチーム貢献不足
- ベテランによる統率不足



43点も取ったのに優勝できないなんて…
個人の成績だけじゃダメなんだね
まとめ – 銀河系軍団復活への道筋
来シーズンへの課題
レアル・マドリードが再び世界最高のチームとなるためには、以下の課題解決が必要不可欠である:
短期的課題(来シーズン):
- 新監督シャビ・アロンソによる戦術的刷新
- プレーメーカータイプの補強
- 守備面でのタスク配分の再構築
- 怪我からの復帰選手の戦力復帰
中長期的課題:
- ベリンガム中心のチーム作り
- ベテランリーダーの育成・獲得
- チーム全体の戦術理解度向上
- バランスの取れたチーム構築
教訓
24-25シーズンのレアル・マドリードは、現代サッカーの重要な教訓を示してくれた:
- スター選手の集合 ≠ 強いチーム
- 戦術的基盤の重要性
- 守備面での全員参加の必要性
- ベテランリーダーの価値
- 段階的なチーム構築の重要性
エンバペという世界最高クラスのストライカーを獲得しながら無冠に終わった24-25シーズン。この失敗から学び、真の意味での「新銀河系軍団」を構築できるかどうかが、レアル・マドリードの今後を占う重要な試金石となるだろう。



新しい監督が来て、来年はうまくいくのかな?エンバペもヴィニシウスも好きだから、頑張ってほしい!