セルティックがJ1に参戦したら優勝できるのか?~10,000シーズンのシミュレーションで徹底検証~

目次

はじめに

前回のブログでリーグレベルについて検証した。今回はその結果から以下の検証をする。
スコットランド・プレミアシップの絶対王者、セルティックFC。もし彼らがJ1リーグに参戦したら、果たして優勝することはできるのでしょうか?

この壮大な検証を、Eloレーティングシステムを用いた10,000シーズンのシミュレーションで検証しました。

検証対象にセルティックを選んだ理由

この検証にセルティックを選んだのには、明確な理由があります。 セルティックは**スコットランド・プレミアシップで13連覇中**の絶対王者です。 しかし、ヨーロッパの舞台では苦戦が続いています。
– 2023-24シーズン: CLグループステージ敗退(6戦0勝) – 2024-25シーズン: **CL予選でスロバンに敗退**
この「国内一強」と「国際舞台での苦戦」というギャップが、今回の検証の 出発点です。「一強の王者」が「混戦リーグ」に放り込まれたらどうなるか?そんな疑問から選びました。


使用したデータと分析手法

データソース

  • The Analyst パワーランキングによる各チームのRating値(2025年10月6日時点)
  • セルティック: 85.3(スコットランド1位、世界58位)
  • J1リーグ首位サンフレッチェ広島: 80.7(日本1位、世界140位)

シミュレーション条件

  • 対戦相手: J1の19チーム
    (セルティックが加わることで試合数が増加してしまうため前提を同じにするためRating最下位のアルビレックス新潟を除く)
  • 試合数: 38試合(各チームと2回対戦)
  • 計算式: Eloレーティングシステムを応用
    勝率 = 1 ÷ (1 + 10^((相手Rating – 自分Rating) ÷ 係数))
  • シミュレーション回数: 10,000シーズン
  • 引き分け率: 事前設定せず、シミュレーション結果から算出

パート1: リーグレベルの比較

スコットランド・プレミアシップ

  • 平均Rating: 73.25
  • 標準偏差: 5.03
  • Rating範囲: 68.1 – 85.3

J1リーグ

  • 平均Rating: 75.73
  • 標準偏差: 3.13
  • Rating範囲: 69.6 – 80.7

分析

J1リーグの平均Ratingの方が2.48ポイント高い結果となりました。つまり、リーグ全体のレベルとしてはJ1の方が上と言えます。

しかし、注目すべきは標準偏差の違いです。

  • スコットランド(5.03): セルティックの一強状態
  • J1リーグ(3.13): 混戦リーグ

J1は実力が拮抗しており、どのチームも互いに勝ち点を奪い合う厳しい環境です。

より詳しいリーグレベルを知りたい場合はここをクリック


パート2: Rating差から見る実力

セルティックとJ1各チームとのRating差を見てみましょう。

J1上位チームとの差

チームRatingセルティックとの差
サンフレッチェ広島80.7+4.6
鹿島アントラーズ80.4+4.9
ヴィッセル神戸80.3+5.0
町田ゼルビア78.8+6.5
川崎フロンターレ78.6+6.7

J1下位チームとの差

チームRatingセルティックとの差
ファジアーノ岡山73.5+11.8
東京ヴェルディ73.3+12.0
横浜FC72.7+12.6
湘南ベルマーレ70.8+14.5

参考: スコットランドでの差

スコットランド2位のレンジャーズ(Rating: 80.1)との差は +5.2ポイント

重要な発見: J1トップチームとの差(4.6-5.0ポイント)は、セルティックがスコットランドでレンジャーズに対して持つ優位性とほぼ同等です。


パート3: 対戦別の勝率予想

Rating差から計算した、各チームとの対戦確率です。

J1上位チームとの対戦

対戦相手Rating差勝率引分率敗率
サンフレッチェ広島+4.641.3%24.0%34.7%
鹿島アントラーズ+4.941.5%23.9%34.5%
ヴィッセル神戸+5.041.6%23.9%34.4%

J1トップチーム相手でも、10000シーズンの中から勝率は41%程度。決して圧倒的な差ではありません。

J1下位チームとの対戦

対戦相手Rating差勝率引分率敗率
東京ヴェルディ+12.047.3%22.4%30.2%
横浜FC+12.647.8%22.3%29.9%
湘南ベルマーレ+14.549.3%21.9%28.8%

下位チーム相手でも、勝率は47-49%。約半分しか勝てません。


パート4: モンテカルロ法でシミュレーション(10,000シーズン)

シミュレーション結果

■ セルティックの平均成績

  • 平均勝ち点: 60.0点
  • 平均成績: 17.1勝 8.8分 12.1敗(17勝9分12敗)
  • 中央値: 60点
  • 10000シーズンの中から得た勝ち点範囲: 27点 – 90点
  • 標準偏差: 8.1点
  • 勝率: 45.0%
  • 引き分け率: 23.1%(シミュレーション結果から算出)

勝ち点分布

10,000シーズンでのセルティックの勝ち点分布:

勝ち点範囲出現回数確率
90点以上1回0.0%
85-89点11回0.1%
80-84点62回0.6%
75-79点299回3.0%
70-74点870回8.7%
65-69点1,732回17.3%
60-64点2,271回22.7% ← 最頻値
55-59点2,243回22.4%
50-54点1,528回15.3%
50点未満983回9.8%

最も出現頻度が高いのは60-64点です。

計算に使用したAIツール:Claude.ai


パート5: 過去のJ1優勝データとの比較

過去10年のJ1優勝勝ち点

  • 平均: 74.5点
  • 最高: 92点(2021年 川崎フロンターレ)
  • 最低: 68点(2022年 横浜F・マリノス)

★核心結果★ セルティックが優勝ラインを超える確率

【平均優勝ライン: 74.5点】

  • 74.5点以上獲得: 373回 / 10,000シーズン
  • → 確率: 3.73%

【最低優勝ライン: 69点】

  • 69点以上獲得: 1,503回 / 10,000シーズン
  • → 確率: 15.03%

パート6: 結果の解釈

なぜセルティックは優勝が難しいのか?

1. Rating差の実態

セルティックとJ1トップチームとのRating差はわずか4.6-5.0ポイントです。これはEloスケールでは小さな差であり、圧倒的な実力差を意味しません。

参考として、スコットランドでレンジャーズとの差も5.2ポイントで、セルティックは毎シーズン優勝していますが、スコットランドは2強リーグです。J1のように20チームが拮抗する環境とは大きく異なります。

2. J1の混戦状況

J1はチーム間の実力差が小さいリーグです。20チーム全てが互いに勝ち点を奪い合うため、セルティックほどの強豪でも安定した成績を残すのは困難です。

3. サッカーの引き分けの多さ

シミュレーション結果から、引き分け率は23.1%でした。約4試合に1回は引き分けとなり、実力差があっても勝ち点3を獲得できないことが多いです。

4. 勝率の現実

  • J1トップチーム相手: 勝率41%
  • J1下位チーム相手: 勝率47-49%

この勝率では、38試合で60点前後が妥当な成績となります。


最終結論

セルティックがJ1に参戦した場合の総合評価

★ 優勝は極めて困難(優勝ライン到達確率 3.73%)

現実的な予測

  • 予想勝ち点: 60.0点
  • 予想成績: 17勝9分12敗
  • 予想順位: 4位前後
  • 平均優勝ライン(74.5点)到達確率: 3.73%
  • 最低優勝ライン(69点)到達確率: 15.03%

位置づけ

セルティックは「J1上位の実力を持つチーム」として評価すべきです。

優勝争いに加わる確率は低めだが、多くのシーズンではACL出場権争いをすることになるでしょう。ただし、約15%の確率で69点以上を獲得できるため、シーズンによっては優勝争いに絡む可能性もゼロではありません

J1上位の実力を持つチーム」として評価する理由

勝ち点60を取った場合の過去10年の平均順位:4.3位
そのため予想順位は4位前後と予想される。しかし、それ以上の勝ち点はなかなか伸ばせないとシミュレーションの結果として出ているため優勝争いに加わることは少し難しいと考えられる


パート7: シミュレーション結果について

評価について

1. 評価基準

  • セルティックの絶対的な勝ち点のみを評価
  • より現実的:にするため過去の実績(過去10年間の優勝チームの平均勝ち点74.5点)との直接比較

2. シミュレーション精度の向上

  • 引き分け率を固定せず、シミュレート結果から算出(23.1%)
  • 新潟を除いた19チーム(38試合)で正確な条件に

補足: シミュレーションの精度について

シミュレーションの信頼性

今回のシミュレーションでは:

  • ✓ 10,000シーズンという大規模な試行回数
  • ✓ Eloレーティングという実績のある計算式
  • ✓ 引き分け率をシミュレーション結果から導出(23.1%)
  • ✓ 絶対的な勝ち点で評価(相対評価の歪みを排除)

考慮していない要素

ただし、以下の要素は含まれていません:

戦術・戦略面

  • 戦術的な相性
  • J1独特のプレースタイルへの適応
  • 監督の采配

フィジカル面

  • コンディション管理
  • 気候への適応(日本の夏の暑さ、湿度)
  • 移動距離と疲労
  • 過密日程への対応力

その他

  • ACL等国際大会との兼ね合い
  • 選手の怪我や不調
  • チームの連携・モチベーション

Eloレーティングシステムについて

今回用いた計算式:勝率 = 1 ÷ (1 + 10^((相手Rating – 自Rating) ÷ 400))

Eloレーティングシステムとは1960年代に物理学者Arpad Eloがチェスのために開発した指標です。

今回Eloレーティングシステムを用いた理由はEloレーティングはFIFAランキングよりも正確といわれていて実際に世界ランキングとして使用されている指標だからです。World Elo rating(fifaランクよりEloレーティングが正確な理由→試合の重要度や対戦相手に左右されるのではなく各試合の勝敗のみでポイントが反映されている)

また、スポーツにおける実力差は、足し算的でなく掛け算的にに作用すると考えたからです。

チームA: Rating 80 チームB: Rating 85 チームC: Rating 90の場合
間違った考え方(線形): 「AとBの差 = BとCの差 = 5点だから、実力差は同じ」
正しい考え方(対数): 「Rating差5点の意味は、絶対値によって異なる」
低いレベル(80→85):大きな実力差
高いレベル(85→90):相対的に小さな実力差


J3の1位とJ3の10位の差(Rating差約5点)
プレミアの1位とプレミアの5位の差(Rating差約5点)
しかし 前者の方が実際の実力差は大きい

そのためEloレーティングの対数スケールは今回の検証にマッチしています

また、The Analyst パワーランキングを用いた理由もは絶対的な実力値ではなく、相対的な順位付けされたデータだからです。

Rating差の解釈

パワーランキングシステムのRating差が、実際のサッカーにおける実力差とどの程度一致するかは不確定要素です。

今回のシミュレーションは、「Rating差が実力を正確に反映している」という前提に基づいていますが、実際には:

  • セルティックはもっと強い可能性もある
  • 逆に、J1の環境に適応するのに時間がかかる可能性もある

まとめ

データが示す結論

セルティックがJ1に参戦した場合、平均勝ち点60.0点、優勝ライン(74.5点)到達確率わずか3.73%という結果となり、優勝は極めて困難

Rating差からの示唆

  • Rating差4.6-5.0ポイントは「やや有利」程度
  • J1の混戦環境では、この程度の差では安定した上位成績も難しい
  • 勝率45%では、38試合で60点前後が妥当

現実的なシナリオ

セルティックがJ1に参戦した場合:

  • ほとんどのシーズンで4位前後
  • 多くのシーズンではACL圏内(3位以内)を争うチームになる
  • 稀に(約4%)優勝争いに絡める

筆者の考え

セルティックはスコットランドでは現在リーグ13連覇をしているチームだが、競争の激しいJ1に参戦しても優勝争いには確実に絡めるだろうが簡単に優勝することは難しいと思います。適応期間を経て、J1のスタイルを理解すれば、2-3年内には優勝の有力候補になるでしょう。ただし、J1の競争レベルを考えると、「圧倒的に優勝」というよりは「優勝争いの常連」になる可能性が高いと思います。

最終評価

セルティックはスコットランドでは圧倒的な王者ですが、J1に参戦した場合は**「ACL出場権を争うの実力を持つチーム」**という位置づけになると予想されます。

これは、J1のレベルの高さ混戦状況を示すものでもあります。Rating平均がスコットランドより高く、標準偏差が小さいJ1では、どんな強豪でも安定した成績を残すのは困難なのです。

ただし、これはあくまで統計データに基づく予測です。サッカーの魅力は、数字だけでは測れない部分にもあります。

実際に対戦が実現することはありませんが、このような検証をすることで、リーグ間の実力差やチームの相対的な強さを客観的に理解する一助になれば幸いです。


データ出典: The Analyst パワーランキング(2025年10月6日時点)
分析手法: Eloレーティングシステム + モンテカルロ法
シミュレーション: 10,000シーズン
使用したAIツール:Claude.ai

この記事は統計データに基づくシミュレーションであり、実際の試合結果を保証するものではありません。

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